【とっても大切なお口の健康のはなし】
【とっても大切なお口の健康のはなし】
こんにちは、森岡歯科医院管理栄養士の沼田(小井田)です。
先日、産休・産休から復帰し戻って参りました。今後ともどうぞよろしくお願いします。
早速ですが、皆さんは年をとっても健康で質の高い暮らしをしたいですよね。
いつまでも好きなものを食べて美味しいと感じられ、病気や介護が必要なく、認知症も発症せずに、自身の力で元気に生活ができて……。
そのような質の高い暮らしを送るために、実はお口の健康が大きく関わっています。
現在、特に問題なく噛めている方も将来後悔をしないために、お口の健康がどれだけ重要かを知って、今からさらに丁寧なケアを心掛けていただければと思います。
歯を大切にすることは健康長寿への近道!
病気や介護を必要とせず、元気に長生きをするために、「歯」がとても重要な役割を果たすことをご存知ですか。普段から歯やお口の健康を気にかけ、きちんと口腔機能の管理やケアをしているかどうかで、病気をしたときの入院期間や死亡リスクに大きな差が出たという調査結果があります。これはお口の中の環境が悪化すると、お口の中で増殖した細菌によって、合併症を引き起こしやすくなるからと考えられています。
また米国の認知症研究では、歯の数が「0〜9歯」の人は、「10〜28歯」の人に比べて、アルツハイマー型認知症を発症するリスクが2.2倍も高いとの結果が出ています。つまり、「歯が残っているかどうか」が認知症や脳の機能に影響するのです。
食事やお口のケアでフレイル予防の効果!
「フレイル」という言葉を聞いたことがありますか?
高齢となって、心身の機能や活力が衰え、虚弱となった状態のことで、早くその状態や兆しに気づき治療や予防をすることで、要介護に進行することを防ぐことができると考えられています。
フレイル予防には「身体活動」「社会参加」「栄養」の大きな三つの柱があります。体を動かしたり(身体活動)、人と交わったりする(社会参加)と同じくらい、「栄養」は大切です。この「栄養」は、単に「バランスよく食べる」だけではなく、噛む力や飲み込む力といった「口腔機能」も含まれています。
お口の機能の低下は「オーラルフレイル」といい、体のフレイルに先駆けて始まるため、全身の機能低下が始まるサインといっても過言ではありません。
次のイラストはオーラルフレイルのチェック項目です。
いくつか当てはまるものはありますか。普段のお食事を思い返してみてください。
これらの項目のなかには、ご自身では特に問題視していなかったり、些細な変化と感じるものがあるかもしれません。ですが、オーラルフレイルになると怖いのが「負の連鎖」で、噛めなくなると食べられる食品の数が減り、するとさらに噛む力が落ちてしまいます。この結果、口腔機能が低下し、低栄養やサルコペニア(筋力低下)のリスクが高まります。
口腔機能がきちんと維持できていると、噛みづらいなどといった理由で食べることを諦めずに、食べたいものを美味しく食べられる時間がより長く続きます。好きなお料理を囲んで楽しくお食事をし、食欲を落とさないようにすることが、体力の維持や免疫力を上げることに繋がります。
ここまでで、お口の健康を気にかけるメリットとして
① 入院期間や死亡リスクの低下
② 認知症や脳の機能の維持
③ フレイル・オーラルフレイルの予防
などを挙げさせていただきました。
普段から適切なお口の管理・ケアをして、口腔機能や食欲の低下を防ぐことが大変重要です。次回は自分の歯を失ってしまったときに「お口の機能を回復するためにできること」についてお話しします。
参考文献:公益社団法人日本口腔インプラント学会 『やっぱり大切!「かめる幸せ」をとり戻す あの素晴らしい歯をもう一度』.朝日新聞出版.2020.